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最高裁判所第二小法廷 昭和50年(オ)438号 判決

主文

理由

上告代理人太田耕治の上告理由について

他人の承諾のもとにその名義を用いて株式の引受がされた場合には、名義貸与者ではなく、実質上の引受人が株式引受人としての権利を取得し、義務を負い、株主となるものと解すべきことは当裁判所の判例とするところである(昭和四二年(オ)第二三一号同年一一月一七日第二小法廷判決・民集二一巻九号二四四八頁参照)。また、株式申込受付票により株券発行前の株式に対する権利の善意取得を認める商慣習法ないし商慣習を肯定する余地はないから、原判決の確定した事実関係のもとにおいて上告人の善意取得の抗弁を排斥した原審の判断は、正当として是認することができる。原判決に所論の違法はなく、論旨は採用することができない。

(裁判長裁判官 大塚喜一郎 裁判官 岡原昌男 裁判官 吉田 豊 裁判官 本林 譲)

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